【新唐人2013年2月6日付ニュース】2月1日、中国河南省の高速道路で橋が崩落し多数の死傷者が出ました。2月4日、河南省の“鄭州晩報”は、死亡者10人の内の6人及び負傷者11人の実名を公表。地元メディアの報道によると、死亡者の遺体は、統一して火葬される予定で、農村戸籍の死者の賠償は、都市戸籍のそれよりも半分になる可能性があるそうです。
河南省の橋崩落事故の救助活動は、2日夜に終了。現場の指揮本部によると、死亡者10人の身元が全て判明したそうです。しかし、メディアが名前を公表したのは、10人のうち6人だけでした。負傷者は現在病院で治療を受けており、3人の重傷者も危険な状態から脱出しているとのことです。
今のところ、当局はまだ具体的な賠償案を公表していません。2日午前、国家安全監督総局の王徳学副局長は、事故現場を視察した際、“統一的な基準と具体的な状況に基づいて実行し、決して労働者と農民を区別してはならず、命はみな同じだ”と表明しました。
しかし、“河南商報”の4日の報道によると、現在行っている賠償交渉で政府の担当者が、事故は河南省内で発生したから賠償は河南省の基準で行い、“都市戸籍なら40万元余り、農村戸籍なら最大18万元の賠償になる”と遺族に言ったそうです。また、別の遺族も、政府担当者から死亡した親族の戸籍確認があったとメディアに明かしました。
同じ事故の死亡者でありながら、なぜ賠償金額に倍以上の差が出るのでしょうか?
北京の弁護士 李和平さん
「これは中国に現存する大きな問題の一つです。『同じ命でありながら異なる価値』。これは普遍的な現象です。同じ車に乗っていても、同じ家族でも、都市戸籍と農村戸籍とでは賠償金額は異なります。これは不公平なものです」
では、中国の法律上、都市と農村の戸籍の違いで賠償金が変わるといった規定は存在するのでしょうか?
北京の弁護士 李和平さん
「農村と都市の戸籍による差別があるだけでなく、個人の年齢、扶養義務の有無によって違ってきます。18万元とか40万元とかで切り分けるべきではありません。中国の法律上の規定も異なります。最も対照的なのが2008年の楊佳の警察殺傷事件で、殺された警察官は一人当たり300万元以上の賠償を得ました」
このほかにも、孫さんという犠牲者の家族が父親の遺体を引き取るために、河南省三門峡市澠池県(べんち-けん)に駆けつけました。2日に事故処理チームと賠償について話し合ったものの、金額が少ないため受け入れなかったそうです。すると翌日、関連部門から賠償手続きの催促があり、12時までにサインすれば5万元をプラスすると言われたといいます。
河南省 張さん
「これら公共事件で政府はいつも早めに事件をもみ消し、影響の拡大を防止しようとします。政府は犠牲者が団結して、条件を出すことを恐れています。彼らはこの種の手段で犠牲者の団結を崩すのです」
2月1日午前9時過ぎ、江蘇省連雲港と新疆ウイグル自治区霍爾果斯(かくじかす)を結ぶ連霍高速道路の河南省部分の義昌大橋で、花火や爆竹を積んだトラックが爆発し、橋が崩落しました。
2月2日夜、中国公安部は公式サイト上で、調査の結果、事故は花火や爆竹を輸送中の車両の爆発によるもので、橋の崩落で車両が転落したと公表。しかし、義昌大橋の品質調査に関するさらなる情報はありませんでした。
今回の事故で、全長208m、高さ37mの義昌大橋は、南半分の橋桁が80mに渡って崩落しました。現場で発見された死亡者のほとんどは、車両の転落で死亡したと見られています。
中国国内メディアは、現場整理をしていた作業員の話として、トラック6台、普通乗用車2台及び多数の比亜迪(BYD)(ビーワイディー)の新車が、まるでスクラップ回収場のように積み上げられていたと報道。
旧正月を前に発生したこの事故は、後味の悪い余韻を残し、ミニブログ上でも注目されています。ネットユーザーは、事故に対する地元ディアの報道からあることに気がつきました。それによると、事件の報道は全部で1,300字。うち、地元政府官僚16人の動静を含む、河南省政府の仕事ぶりを賞賛するものが1,134字を占め、犠牲者やその家族を取り上げることは一度もなかったそうです。
新唐人テレビがお伝えしました。
(翻訳/松本 編集/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)